「莉世こそ、昨日のこと……忘れたわけ?」
「そっ、それは……」
ムッと顔をしかめて言われて、珍しく何も言い返せなくなる。
忘れもしない昨日の放課後。
まさか、自分以外の人がいる前で話しかけてくるなんて。
話したの、入学式以来かも……
久しぶりだったけど、やっぱり胸がドクンドクンと音を立てて苦しくなって。
背筋が凍るような感覚になって。
あの日から天野くんと話すと、いつもそうなってしまう。
「莉世が、1人であんなに苦しそうな顔してると思ったら、俺の心臓が持たないの。だから、常に俺の隣にいて」
真剣な目でじっと見てくるけど……
「さ、さすがに過保護すぎでは……」
天野くんとは違うクラスだし、会うとしたら委員会だけだと思うし。
何より私が……
天野くん本人に、学校で話しかけないでって言ってあるから。



