……ほら、こういうところがずるいんだってば。
からかってるのかと思えば、今みたいに……立ち止まって、愛おしいと言わんばかりの眼差しで見てくる。
鼓動が、速い……
顔が、熱い……
こんなの、私じゃない。
蒼井の言葉にいちいち反応してるなんて、自分らしくない。
「なーんてな?
ときめいちゃった?」
もう一度、するりと撫でてからその手は離れていった。
ハッとして蒼井を見れば、さっきみたいな甘い雰囲気は既になくて、そこにはいつも通り、ニヤリと笑った顔があるだけ。
「少しは……意識、してくれた?」
「ひゃっ……!?」
ふっと耳元で息をふきかけられて、肩がビクッと跳ね上がる。
「な、何すんの!?」
「ほんと、可愛い反応してくれるよなぁ、莉世。やっぱり俺のこと、意識してくれてるんだ?」
「してないから!!
べ、別に今のはびっくりしただけで!!」
「ふはっ、そんなに焦ってる莉世、初めて見た」
そう言って、笑いながら歩き出した蒼井。
「だから、違うって言ってるでしょ!?」
ほんのり熱を持つ耳に手を当てて、これでもかと睨むけれど、
「そんな可愛い顔して睨んでるつもり?
俺にとっては、愛おしいでしかないんだけど」
「〜っ!!」
なんて、もっと嬉しそうに笑うから、もうそれ以上何も言えなかった。



