「べ、別に怒ってるとか、じゃないから……
蒼井……」
「え、な、なに?」
「これ、ありがと……」
もらったアップルティーを両手で包んで蒼井を見れば、口を手で覆って横を向いていた。
え、なんで横向いてるの?
首を傾げて蒼井を見つめれば、
「ちょっと、待って…
不意打ち、ヤバ……」
そう言ってなんだか慌ててる。
「うわぁ、莉世って恐ろしい子……」
「歩優まで……なに、言ってるの?」
蒼井はいい加減こっちを見ようともしてないし、歩優はヤレヤレとため息をついている。
ただ、料理をほめられて嬉しかったのと、飲み物をくれたお礼を言いたかっただけなんだけどな……
「普段素直じゃない分、デレた時の破壊力ヤバいんだけど……これはやられた」
「あー、莉世ってそういうところあるよね」
なんだかよく分からないけど……
蒼井が珍しく照れてたんだろうなって言うのは分かったし、ちょっとだけ嬉しかった。
暗い気持ちでいる時に限って、蒼井は私の傍にいる。
今、私の所へやってきたのも、
まだ入学してすぐの、あの…雨の日も。
────あの時も蒼井が、声をかけてくれたから。
私は、救われたんだ。



