なんでこんなやつなんかに、ドキマギしてるのよ、私……
さっさと立ち上がって…って、あれ?
「どうした?」
「っ……」
ヤバい、腰が抜けて力が入らない。
そう思っていたら、蒼井がふっと笑った。
「はい」
「え……」
スっと差し出されたその手。
何その手……?
「力抜けて、立てないんだろ?
だから」
「別に、いい」
嬉しそうにしてる蒼井とは裏腹に慌てる私。
なんだか悔しくて、負けた気がして、ぷいっと横を向けば、
「莉世、めちゃくちゃ可愛い」
なんて言われて、グッと距離を詰められて、驚く間もなく、抱き起こされた。



