「ま、そういうこと」


にっこり笑って広げていた手を下ろし、席を立つ蒼井。


「残念だけど、今日のハグはお預けってことで。
その代わり……」


「え………」


優しく前髪をすかれて、

ふわっとおでこに当たる柔らかいもの。


「きゃぁぁぁーー!!!」


「宙くん、カッコよすぎっ……!!」


教室中が黄色い悲鳴に包まれて、大騒ぎ。

いや、それは廊下にも……


「莉世、その顔可愛すぎ」


追い打ちをかけるように、愛おしそうに見つめられ、するっとなでられた頬。


「っ……」


「ちょっ、莉世!!!
超羨ましい!!!!」


歩優に肩をガクガクと揺さぶられるけど、何も頭に入ってこない。