それからそこに花束を置き、2人で手を合わせた。


「莉香……
来るのが遅くなってごめんね。
莉香のおかげで、前に進むことができたよ。
ありがとう」


目を閉じてそう言うと、隣にいる蒼井も続けて言った。


「はじめまして、莉香ちゃん。
俺は莉世の恋人の、蒼井宙。
莉世のことは、絶対に、一生をかけてでも幸せにする」


一生っ!!?


思わぬ言葉にカッと目を見開いた。


「ちょっ……!!
莉香の前で、なに恥ずかしいこと言ってるのよ!」


「だって事実だし。
相変わらず、可愛い反応してくれるなぁ……
本当は、嬉しいくせに」


「そ、それは……っ」


「ほら、体は素直みたいだけど?」


そう言うと、とびきり甘い眼差しが私を捉えて、頬をするりと撫でられる。


「っ……」


ずるい。


心臓がバクバク言ってて、顔も熱い……


本当は、めちゃくちゃ嬉しい。


大好きな人から、そんな幸せな言葉をもらえることが。

今だって、抑えきれない嬉しさに顔が緩みそうになるんだもん。


でも恥ずかしいから、口が裂けても言わないけどね。



「ほ、ほら、雨上がったし、もう行くよ」



気づけば雨が上がり、雲から太陽の光が差していた。



「はいはい」


もう……っ

クスクス笑う蒼井から、ふいっと視線を外して傘を閉じ、莉香に、また来るねと言おうとした時。


「莉世」


まぶしい笑顔で私を見つめる、莉香の姿が見えた気がした。