「…………」

そもそも名前も分かんないのに、OKなんかするわけないし。


ズキっと胸が痛む。


それにわたしは──────


「あの、返事……もらえないかな?」


ハッとして正面を見れば、不思議そうにこちらを見ていた。


「あっ、ごめんなさい。
気持ちは嬉しいですけど、今は誰とも付き合う気はないので」


「そっか……
聞いてくれて、ありがとう」



目を見てきっぱり断れば、男の子は悲しげに校舎に戻っていった。


今も、これからも。

この先誰とも付き合わない。



────改めて、そう思ったばかりだったのに。