確かに莉世と関わりがあるのは事実。


でも赤の他人の、名前しか知らないはずの相手に、どうしてその話をしたのか。


そう言うと、莉代さんは涙をそっと拭って、切なげに笑った。


「きっと、あなたが莉香にそっくりだったから……かしらね」


「俺が……莉香さんに?」


「ええ。
莉世があなたの話をする時に、何度も言っていたの。自分を安心させてくれる。元気にしてくれる。名前の通り、青空の元で輝く、太陽みたいに明るい人だって」


「っ……」



まさか、莉世が俺のことをそう思っていたなんて……


「莉香の人格になった莉世を見たことがあったとしたら分かると思うけど、莉香はよく笑う子じゃなかった?」


「はい。
まあ、言われてみれば……」


確かに莉香ちゃんは、いつもにこにこしているようなイメージだった。


「周りを照らしてくれるような、明るい色に色づけてくれるような莉香に、あなたがとても似ていたから。きっとそれが理由ね」


そう言った時の莉代さんは、もう泣いてはおらず、心の底から笑っているような、そんな笑みを浮かべていた。



俺は少しでもそういう風に、莉世の救いになることができていたのかな……


そう思ったら、一筋の光が見えた気がした。