「ごめん………」


頭を下げて、蒼井に伝える。


ぎゅっと唇を噛み締めて、涙が落ちないように、必死に堪える。


「なん、で……?」


「っ!!」



ゆっくり顔を上げると、蒼井は見たこともない顔をしていた。


だけど、苦しそうに歪んでいるのは確か。


だって私の視界もぼやけて、ほとんど見えていないから。


「莉香ちゃんのことが、あったから?」


「ごめんなさい……っ」


「病気、だから……?」


「ごめんなさい……っ」


蒼井の声も、私の声も震えていた。


「それでも俺はっ……」


「ごめん……っ、ごめんね、蒼井……っ
好きだけど、大好きだけど……っ、付き合えないっ……、ごめんなさい……っ」


暗い部屋の中、無言の蒼井と謝り続ける私。


もう、きっとこれで本当にお別れ。


蒼井……


大好きだよ。


それから私はまだ何か言おうとする蒼井を追い出して、部屋で1人、ずっと泣き続けた。