ぎゅっと拳を握りしめて、胸が張り裂けそうになるのを堪えて、蒼井を見つめる。


「蒼井」


「ん?」


呼びかけると蒼井は、顔を傾けて、優しく微笑む。


「蒼井のこと、好きだよ」


言葉でなんて、言い表せないくらい、蒼井のことが好き。


大好き。



「俺も、莉世のことが好き。
大好きだよ」



でも、ごめんね。



「でもごめん」



ごめんね、蒼井。



「え……?」


好きだからこそ、離れなきゃいけない。


私へと伸ばされたその手がピタッと止まり、空中に浮いたまま停止する。


好きだからこそ、幸せになっちゃいけない。



「蒼井とは付き合えない」