あの日は伊吹が委員会で、莉香と2人の帰り道だった。


「莉香、体調大丈夫?」


「うん!大丈夫だよ〜」


最近莉香は天気の悪い日が多いせいか、よく体調を崩す日が多かった。

顔色も悪く、頭痛がひどかったり、時には吐き気があったりして。

1日ベッドから起き上がれない日もあったくらいだった。


「最近暑くてエアコンとかもつけ始めたし、それで体の調子がうまくいってなかったみたい。季節の変わり目だし、早めの夏風邪だって」


「そっか〜」


心配した両親が、莉香に病院に行った方がいいと言っていたけれど、莉香は小さい頃から病院が大嫌いで、ずっと行くのを嫌がっていて。


でもなんとか先週行ってきたみたいで、一応色々検査もしたらしく、結果は昨日出たばかりだった。


莉香によれば、特に大きな異常は見当たらなくて、心配しなくていいとのこと。


はぁ……、良かった。


内心ホッとして、ウキウキしていたのがいけなかったのかもしれない。


「莉世、今日は近道して帰ろ?
今にも雨降りそうだし、制服濡れたくないしね」


「いいよー」


見上げれば、今にも降ってきそうな黒い雨雲。


確かに今にも降ってきそう……


いつもはしない近道だったけれど、私達はそうすることにした。