最初は、


「霧雨さん」


「天野くん」


そう、呼び合っていたけれど、


「莉香も霧雨さんだし、莉世って呼んでいい?
俺のことも、下の名前で呼んでくれていいから」


「分かった。じゃあ、私も伊吹って呼ぶ。
もしかしたら、天野くんが私と兄妹になる日が来るかもしれないもんね?」


「バカっ!!
早すぎだっつーの!」


「アハハ、冗談だって!」


いつしか私達も普通の友達のように接していて、まるで宝石のように輝く、幸せな日々だった。


当たり前のように、莉香と同じ家に帰って。


時に伊吹と莉香と、3人で帰ったりして。


本当に、幸せな日々だった。


いつまでもこの時間が続けばいいのに。

こんな明るくてまぶしい日々がずっと、続いていけばいいのに。


そう、思っていた時だった。



─────6月のある日に、莉香が亡くなったのは。