「一瞬でも、それが思い違いであったとしても、そう思われたことが自分でも驚くくらい、応えた。毎日のように話しかけて、構って、気を引きたくてからかったりして……そんなことさえも、できなくなるくらい」
「…………」
言わ、ないで……っ
それ以上、言わないで……っ
無理やり押さえ込んだ気持ちが、開いたフタからこぼれ落ちてくる。
「でもだからこそ思ったんだよ」
「な、にを……?」
「莉世のことを、それだけ本気で好きで、こんなに本気になったのは莉世が初めてなんだって」
「っ………」
もう、やめて……
「いくら拒絶されたとしても、離れられようとしても、俺は莉世のことが好きで好きでたまらないのは変わらないんだろうなって。諦めるなんて、最初から無理だった」
苦笑いする蒼井の顔が、涙でぼやけていく。
私だって……
私だって、無理だったよ。
一度開いたフタはもう二度と閉まることはなくて。
どんどんと、泉が湧き出るように溢れて止まらない。
「なぁ、莉世……」
そして蒼井は今日初めて、私の前でいつものように笑ってくれた。
どこかぎこちないけれど、目を細めて優しく微笑んで。
「莉世の、気持ちは?」
「っ……」
「莉世の気持ちを聞かせて?」
そして、ものすごい力で手を引かれて、ぎゅっとあたたかいぬくもりに包まれる。



