「あれは、別に俺に対してどうこうじゃなくて、紛れもなく、過去のことが原因なんだろうって。けど俺は、一瞬でもそれを自分が拒絶されたのかと思って、今日ずっと…莉世に話しかけられなかった」
分かってる。
蒼井の言いたいことは。
手を振り払ったのは蒼井のせいなんかじゃない。
紛れもなく、私が過去を思い出したせい。
1ミリ足りとも、蒼井は関係ない。
「今までの冷たい言葉は、照れてのことだって分かってたし、寧ろ可愛いとしか思ってなかった。けど、昨日あんなことがあって、莉世に拒絶されることが、こんなにも苦しいことなんだって初めて分かった」
そう、全て私のせい。
蒼井のこんなつらそうな表情を引き出してしまったのは全部私のせい。
蒼井にだけはこんな表情をさせたくなかった。
ずっと笑っていて欲しかった。
でも私なんかと関わったがために、そのまぶしい笑顔を、その表情を、私が奪ってしまった。
うん。
やっぱり思った通りだった。
蒼井への気持ちを全部忘れて、なかったことにして、もう二度と関わらなければ、きっと蒼井の元の笑顔が見られる。
そう、思ってたのに─────。
「でも俺は、やっぱり莉世のことが好き」
────この人は、そうさせてはくれないんだ……



