「莉世」
早く、帰らなきゃ……
「莉世」
雨が降らない内に早く……
「莉世!!」
「……な、に」
雨に当たる恐怖で怯える私は、早く帰りたい、それしか頭になくて。
隣に蒼井がいるのに、何度も呼ばれているのにも気づかずに。
私はずっと自分のことばかりで、精いっぱいで。
ほんと、ダメな人間だ……
「話があるんだけど」
つないでいた手をクイッと引かれ、立ち止まって蒼井を見上げる。
「っ!!」
途端に、胸に切り裂かれたような痛みが襲う。
顔は苦しそうに歪んでいて、いつも笑っている蒼井からは考えられない程、つらそうな表情。
まるで、今にも雨が降り出しそうな空のように。
「昨日のこと……、ずっと考えてた」



