「だ、誰かに見られたらどうするの……っ」


「俺は見られても全然問題ない。
……それより、いい加減俺に集中して?」


「な、なに言って……っ」


ダメだ、全然話聞いてくれない……


必死に離れようと後ずさるけれど、腰を片手でグイッと引かれて、蒼井の制服のシャツを握るしかできない。


「抱きしめたくらいじゃ、やっぱり全然収まらない」


「あ、あおっ……」


「俺、まだ全然足りてないから、
こっち向いて口、開けて?」


「は……!?」


「俺をもっと莉世でいっぱいにさせて」



暴れまくる心臓。


抱きしめられた腕の中、じんわり熱を持つ体。


耳から頬、首へと滑る長い指。


そして、私の心を揺さぶる甘すぎるほどの優しい眼差し。


「覚悟して」


ああ、もう、むりっ……


最後に耳元で囁かれた言葉が、頭の中で何度もこだまして。


とっくにキャパを超えてしまっている私は、もうその甘い雰囲気に流されるしかないと、ぎゅっと目を閉じたのだった。