「まあ、いいけど。
さっさと行くよ」

「はーい」

「ほーい」


やっぱり安心するなぁ……この空気。


自覚がないだけで、本当は蒼井のおかげ、なのかな……


心の中があたたかくなるような、不思議と安心するような。


なんだかんだぶっとんだことばかり言ってるけど、実は私、結構蒼井に救われてる……?


いつも元気な蒼井のおかげ、なのかな……


チラリと、隣をニコニコしながら歩く蒼井を見た矢先だった。




「霧雨さん」



後ろから、またあの人が声をかけてきたのは。



いつも心の中があたたかさで、陽の光で満ちていくような時に限って、あなたは現れる。


その光に手を伸ばす私を遮るかのように。

キラキラと輝く明るい世界へと行こうとする私を、いつもあなたが引き戻す。


冷たい雨が降る、一人ぼっちの暗い世界に。