蒼井が来る前になんとか落ち着こうと、ふぅと1つ深呼吸。


「ごめん莉世、待ってもらって!」

「お詫びに甘いキスしてあげ……って、ちょっ、莉世痛いって!!」


廊下で立ち止まり、教室の方を見ていると、2人がバタバタと走ってきた。

歩優は置いといて、蒼井……


あんたは何言ってるの?


無言で怒りのオーラを出しつつ、手の甲をつねってやれば、痛い痛いと涙目になる。


「寝言は寝てから言いなさいよ」

「え、莉世……それって、夜のお誘……って、だから悪かったって!!」


「蒼井……1回地獄に落ちてみる?」


またふざけたことを言い出した蒼井を睨み、次はバシッと頭を叩こうとする私。


ほんと、何言ってんだか……

夜のお誘いって……バカなこと言わないでよ!!


「照れてる表情も可愛いけど、ツンツンなところは相変わらずだな〜」


なんてすぐに、ムカつくくらい余裕な顔で、ニヤリとする蒼井。


相変わらず、切り替えの早いこと。


そしてその横で、ニコニコする歩優。


ああ、なんだろう……この感じ。


心は落ち着かないけど、なんだか心地いい、みたいな……