「って言うのは口実で」
「口、実?」
口元に手を当てて、ふいっと横を向く蒼井。
えーと、なにこの反応?
余裕がなさそうに眉を下げて、何か言いたそうに口を開けば、また閉じてしまう。
はっきり言えばいいのに……
「……取られたく、なかったから」
「はい……?」
「普段クールなくせに、ああやって、なんでもないように人を助けたり。女子に向かってきっぱり言い切ったり」
別に、クールじゃないし……
だからそれは、当たり前のことをしただけで……
「あんな一面を見たら、男は単純だから、すぐに堕ちるわけ」
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…