「き、霧……」

「蒼井」

私が来たことに驚いているのか、固まったまま目を見開く蒼井に話しかける。

何をそんなに驚いているんだか……

まあ、今の表情の方が、いつものチャラチャラした姿より人間味があっていいと思うけど。


別に、興味の欠片もないけどね。


「この男の子は大丈夫みたいだけど、蒼井は?怪我、してない?」

「え……」


だから、なんでそんなに驚くわけ?

味噌汁がかかったって言ってたから、火傷してたら大変だと思って聞いただけなんだけど。

「さ、さっきも言ったけど、俺は平気。
制服なら、洗えばすぐに落ちるだろうから」

「そ。なら、いいけど」