気づいた時には蒼井の腕の中。


しかも、また……


「だ、だからこれ、恥ずかしいんだってば!!」


なんでまたお姫様だっこなんてするのよ!?


「莉世が言ったんじゃん」


「な、なにを……」


「ここは、教室だからって」


いつにも増して、グイグイ追ってくる蒼井。

まるで、おもちゃを見つけた子供みたいに嬉しそうに。

目は細められて、口角も上がってて、それはもう、めちゃくちゃ嬉しそうで。


今まで見たことないくらい、キラキラまぶしいその笑顔。


っ……、そんな顔、しないでよ…


本当だったら、ジタバタ抵抗しても降りたいけれど、そんな表情されたら、こっちだって何もできないじゃん……


不覚にもドキッとして、いつもの調子が狂ってしまうくらいのその笑顔は、


人のペースを乱すくらい、破壊的なもの。


「あ、蒼っ……」



……なんて思ってた私がバカだった。


いや、バカじゃない。


バカでアホでおたんこなすだった。


「ここが教室だから嫌ってことは、俺とふたりきりだったら、いいってことだよな?」


「は………?」


やっぱり中身は、所詮蒼井そのものだった。