「莉世のこと……だよね?」
教室に入って俺が座ったことを確認すると、和栗は口を開いた。
朝は時間がなかったから、昼休みに和栗と約束して、空き教室にやってきた俺たち。
本当はいつも人がいない屋上に行きたかったけど、外は雨だし、仕方ない。
「そう。
和栗なら、莉世と中学の時から同じだし、何か知ってると思って」
「そっか……」
やっぱり、気づいてたか……
たぶん、いつもヘラヘラしてる俺が、登校してきてからすぐに話しかけてきたことに、和栗も何か察したんだろうな……
莉世の中学時代のことを、気にしてるって……
俺と離れた所に座っていた和栗は、無言で立ち上がると、ふと窓に片手を当てて、雨が降り続ける外を見た。
なんだ……?
「和栗?
どうし……っ!!」
唇はきゅっと結ばれて、何かを我慢するような、つらい表情。
莉世や天野と同じ、あの姿。
莉世と出会ってから、こんなにつらい表情を見たのはこれで何度目か。
3人とも、同じ色で、
瞳の中に……光が見えない。
「っ……」
胸の奥がぎゅっと掴まれたように痛くて、何かに引き裂かれたみたいに苦しくて。
俺は、何も言うことができなかった。



