ん!!?
なに……?
あまりに大きい音にビクッとして、顔を上げると。
「す、すみませんっ……」
メガネを掛けた、背が低めの男子が、食券を買いに行こうとした蒼井とぶつかったらしく、床にハンバーグ定食がこぼれていた。
うわ、あれは盛大にやっちゃってるわ……
「なに、この男子……
オドオドしててキモくない?」
「宙くんが怪我したらどうしてくれるんだろうね?」
周りの女子たちはヒソヒソと話すだけで、床を拭くのを手伝おうともしない。
なに、あれ……
床がひどいことになってるのなんて、見れば分かるのに。
どうして自分から動こうと、しないの?
「俺は別に平気だから」
大丈夫だよ、と顔を真っ青にして慌てる男の子を安心させるように笑った蒼井。
「で、でもっ、制服にちょっとかかって……」
どうやら、味噌汁が蒼井の腕にかかってしまったらしい。



