「はい?」


その声はさっきまで俺を罵って……厳しく指導していた委員長の声ではなく。


「お前に1つ言っておきたいことがある」


振り返った俺に、プリントから顔を上げて、笑みもなく、ただ真剣な顔を向けていた。


なんだ?この空気……


どこか深刻なような、ピリッとした雰囲気。



「同じ1年の……」


「?はい」


「5組の実行委員で、天野ってやついるだろ」


「っ!!
……はい」


思ってもみない名前の登場に、一瞬動揺してしまったけど、変に悟られないように落ち着いて聞き返す。


どうして急に天野のことを、委員長が……


「天野が……どうかしたんですか?」


「お前と霧雨さんが本当に付き合ってんのかは知らねーけど。もし、そうであったとしても、そうじゃなかったとしても」


「はい」


「………アイツは、気をつけた方がいい」