「蒼井には申し訳ないけど、私も帰……」


その時の私は、完全に油断していた。

バカだった。


あんなに蒼井から離れるなって、釘を刺されていたのに。

たくさんたくさん、忠告されていたのに。


あの時無理矢理にでも、蒼井について行けば良かったと後悔する。


今更後悔したって、もう……遅いのに。








「莉世」




───────ゾクッ


校舎の方へと歩き出そうとした私の背後から聞こえたその声は、


忘れもしない、私を震え上がらせるには十分なもの。