戦乱恋譚


伊織は、その答えに照れたように笑った。二人の手が、そっ、と重なる。

…伊織の言った、そんな日がいつか来るのだろうか。伊織に似た子どもと手を繋いでいる自分を、ふいに想像してみる。きっと、天使のように可愛いだろう。

伊織と二人なら、きっと、幸せになれる。これから、どんなことがあろうとも、私たちはこれまで、想像できないような困難を乗り越えてきたんだ。

時空を超えて神さまが繋いでくれたこの縁を切らないように。永らえた伊織の命が、私よりも先に消えないように。

ずっと、この手を離さないでいたい。

伊織が、私の心中を察したように、きゅっ、と私の手を握った。


(…もう、迷わない。私はこの世界の住人として。そして、伊織の妻として、生きていくんだ。)


「伊織。…好きだよ。」


「…!」


目を見開いた彼は、数秒後、ふわりと笑う。


「…やっぱり、俺の奥さんは可愛いね。」


気持ちが溢れたように交わされた口づけは、幸せな気持ちで私を満たした。

サァッ…、と、夜の屋敷に爽やかな風が吹き、雨が上がったような空に、綺麗な月が見えたのだった。



其の陸*終


*完*