貴方のコト好きでした

俺は、わざと今まで忘れていた振りをしていた。
思い出せば…心を抉られるように苦しくなるから…。
過去を引きずりそうで怖いから…。
なるべく思い出させないようにしていた。
輝桜鈴のコト…ばっか考えていると…俺は元の世界に戻れなくなってしまう…そう思った。

「なぁ…輝桜鈴…。」

俺は小さくその名前を口からこぼした。
授業すら身に入らなくて…真っ白なノートをずっと見つめていた。

「…神!北神!」
「あっ…はい…。」
「何、ボケーッとしている?
 そこの問題を解け!」

別に時間が戻るわけじゃない。
そりゃあ…戻せるなら…ずっーと過去に戻して…輝桜鈴の居た頃に…。

輝桜鈴も見てるって言ってくれた…それだけで十分な気もした。