遠距離の彼 と 近距離の同期

・:*:・:・:・:*:・

着替えてコートに出ると、4面貸切になっていて、10人以上集まって談笑している人、すでに練習を始めている人、いろいろだった。

私がキョロキョロしていると、すぐに天が来てくれた。

「大勢なんだね。」

私が言うと、

「だろ? 俺も知らない奴がいっぱいいるよ。」

と笑った。

「来いよ。紹介してやる。」

そう言うと、天は私の手を引いてみんなの輪の中へ連れて行った。

「紹介するよ。
伊藤結。
俺の会社の同期で同僚で、俺の…」

そこでなぜか天は私を見る。
何?

「彼女だろ?」

輪の中の男の人がニヤニヤしながら言った。

私がブンブンと首を振ると、天はニヤッと笑って、

「部下。」

と言った。

「は!? 何それ!? ムカつくー!!」

私が怒ると、

「事実じゃん。」

と笑う。

「事実でも、言わなくていいじゃん。
なんで、同期とか同僚で止めないかな?
性格悪すぎ。」