・:*:・:・:・:*:・

ヴーッ

仕事中はマナーモードにしてあるスマホが振動した。

海翔!?

ディスプレイには、斜め前に座る彼、宮本海翔の名前が表示されている。

私はチラッと彼を見てから、メッセージアプリを開いた。

『話があるから、今夜、うちに来て。』

なんだろう?
よく分からないながらも、『了解』のスタンプを送った。


19時。

「伊藤、帰れる?」

海翔に声を掛けられ、

「うん。大丈夫。」

と返事をする。

私たちは2年程前にデートを目撃され、付き合っている事がバレてから、社内でも公認の仲となった。

それでも一応、呼び方や態度などは、節度を持ってこれまで通り、同僚としての範疇を超えないようには気をつけている。