やっぱり出ない。
電話も繋がらない。
私はマンションの前で泣きながら、電話を掛けた。
『もしもし? 伊藤? どうした?』
「天…
海翔がいない。
海翔に会えない。」
『伊藤、今、どこ?』
「海翔のマンションの前。」
『電話は?』
「出ない。
初めは、呼び出し音が鳴ってたのに、途中で
切られて、もう、それも繋がらない。」
『………帰って来い。
品川で待っててやるから、帰って来い。』
「うん。」
私は電話を切って、駅に向かった。
来るときは、あんなにウキウキ、ワクワクしてたのに、今はもう、心がぐちゃぐちゃで、どうしていいか分からない。



