遠距離の彼 と 近距離の同期

「結には言ってなかったけど、私たち、
ずっと不妊治療してきたの。
もう6年になる。
そろそろ潮時かなって話してた。
特別養子縁組みって言ってね、戸籍上も
ちゃんと長男、長女として入れられる制度が
あってね、それをしようかって言ってたの。
でも、なかなか赤ちゃんの状態で手放す人は
いなくて。
結の子なら、私、絶対に可愛がれるわ。
ちゃんと大切に育てる。
だから、結は、自分が本当に好きな人と結婚
しなさい。」

「だって、もう結婚式まで3週間しかないし。
招待状だって、送っちゃったし。」

「まだ!3週間もあるわ。
招待状なんて、幸いあなた妊婦なんだから、
『新婦の体調を考慮して、無期延期に
なりました』って言えばいいのよ。
嘘も方便よ。」

「だって、そんなの、海翔が納得しないよ。」

「そうね。1番の問題はそこよね。
海翔くん、呼んで来るから、今から話し合い
ましょ?」

そう言って、姉は部屋を出て行った。