遠距離の彼 と 近距離の同期

「はぁ!?
っていうか、いつまで人の手、掴んでるのよ。」

「離したら、お前、逃げるだろ?」

「ここまで来たら、もう逃げないわよ。」

私が言うと、小川天は上からニッと笑って、手を離した。

小川天は、180㎝の海翔より背が高い。
中性的な海翔と違って、彫りが深くて眉も濃い。目鼻立ちもはっきりしていて、肩幅も広くて、肌もほんのり日焼けして浅黒い。

男性的な分、上から見下ろされると、威圧感がある。

ま、私が小さすぎるせいかもしれないけど。


私と天敵のこいつは、こんな奴なのに、海翔と同じぐらい女子人気が高い。

他の女子の言葉を借りると、海翔が王子様なら、こいつは、騎士、ナイトらしい。


ふんっ
見た目が良くても、性格がね。


水とおしぼりを持ってきた店員さんに、小川天はオムライスを、私はシーフードグラタンを頼んだ。