遠距離の彼 と 近距離の同期

「え? 社食じゃないの?」

社員食堂は3階にある。

「今日は、社食の気分じゃない。」

平然と小川天は答える。

「ちょっと待って。私、外にランチに行く程、
お金持ってないの。」

なんたって、遠距離恋愛なんだから、少しでも節約して新幹線代に当てたい。

小川天は、チラッと私を見下ろして、

「心配するな。ランチぐらい奢ってやる。」

と言った。



私が連れて来られたのは、会社から歩道橋を渡った向こう側にあるお洒落なカフェ。

総務や人事、経理などのオシャレ女子たちがよく来る店だ。

「ねぇ、なんで私があんたとこんな小洒落た
カフェでランチしなきゃ、いけないの?」

私が聞くと、

「別に。俺がオムライスの気分だったから。」

と平然と返された。