遠距離の彼 と 近距離の同期

「ま、だいたい分かった。ありがとな、伊藤。」

え? こいつ、お礼なんて言えるの?
今まで、憎まれ口しか聞いた事ない。

「いえ。」

私は、短く返事をして、社食に行こうと引き出しから財布とスマホを出した。

「じゃ、飯行くぞ。」

小川天が立ち上がる。

「は?」

「飯! 食うだろ?」

「食べるけど、なんで私があんたと食べなきゃ
いけないのよ。」

「あれ? お前、俺のお世話係じゃなかった?」

「ランチなんてお世話しなくても食べられる
でしょ!?」

「じゃ、親睦会。ほら、行くぞ。」

そう言うと、小川天は、私の手首を掴んで歩き出した。

私は引きずられるように連れて行かれ、エレベーターに乗せられる。

小川天は、1階のボタンを押した。