蜜月は始まらない


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落ち着かない気持ちで金曜から日曜までの3日間を過ごし、とうとう、錫也くんが帰ってくる月曜日の朝を迎えた。

朝食は軽くトーストとコーヒーで済ませたけれど、心ここに在らずだったせいか食べていたときの記憶があまりない。

我ながら、重症だ。だけどそれも、錫也くんがこの家に帰ってくることでひとまずは収束する……はず。

彼の言う『大事な話』の内容は、いくら考えたところで答えにたどり着くはずもない。

わかっていても、この数日間何度もあの朝のやり取りを思い出してしまっていたのだけど……。

錫也くん、何時に帰るのかな。

晩ごはん、何にしよう……前に作って好評だった、豚の角煮とか?

悶々と思考をめぐらせながら拭き上げの済んだ食器をカップボードに戻していると、リビングのテーブルに置いてあったスマホが2回連続で音をたてた。

ちょうど片付けが済んだところだったので、ガラス戸を閉めてからそちらへと向かう。

ディスプレイを見ると、SNSにメッセージと画像を受信している旨のお知らせが表示されていた。

送り主は、ここ最近すっかり見慣れた女友達の名前だ。
2ヶ月ほど前に高校時代の懐かしい写真を送ってくれた彼女とは、あれ以来ゆるーくやり取りが続いている。

ソファに腰を下ろすでもなく、立ったまま何気なくトーク画面を開いた私は、ディスプレイを見つめ硬直した。