俺は何をやってるんだ。そのうち会えるだろうとは、思ってたけど、あんなドンピシャのタイミングで、校門で鉢合わせするなんて。そして、あいつの方から話しかけてくれたのに・・・。


あんな形で離れたことを、後悔し続けて来たのに。ずっと会いたくて仕方なかったのに、もうあいつと話したって、誰にもなんにも言われやしないのに・・・。


俺とあいつ、岩武由夏はいわゆる幼なじみっていう奴。それに、はっきり言って俺の初恋の人であり、今だって・・・。


小さい頃から、俺と由夏はいつも一緒にいた。幼稚園に行くのも、小学校に行くのも一緒。そんなの当たり前、だって俺達は「婚約者」だったんだから。


5歳の俺の誕生日だった。おめでとうを言ってくれた由夏が


「ねぇ、さとくん。なにかほしいものある?ゆか、プレゼントしてあげるよ。」


「ほんとに?ありがとう、うれしいな。なにがいいかな?」


「なんでもいいよ、おかしとかおもちゃとか・・・。」


幼稚園の子供が何を買えるわけでもない。でもそんな可愛いことを言ってくれる由夏の気持ちが、とても嬉しくて、少し考えた俺は、とんでもない事を口にした。


「じゃ、やくそくしてくれる?ゆかちゃん、おおきくなったら、ぼくのおよめさんになってくれるって。」


「うん、いいよ。ゆか、さとくんのおよめさんになる。」


即答だった。