「手編みでいいの?」

手編みは重いって聞いてたから、まさか欲しいと言われるとは思ってなかった。

「うん。だって編んでる間ってあげる相手を考えたりするだろ?」
「そうね、そうかも」
「それって会ってない時も自分のこと考えてもらえて、しかも手作りの物が貰えるって好きな相手からなら最高だと思う」

その考え方がなんだか要くんらしくて、私はニッコリ笑って答えた。

「分かった!それならプレゼント頑張って作るね」
「楽しみにしてる。俺もちゃんと有紗に用意するから。イブの昼間はデートしよう」

私達はクリスマスの約束をした。
周りは受験で大変な中なので、内緒話のように小声で話して決めたこと。

すこしこそばゆいけれど、とっても楽しみになった。

しかし、このプレゼントを作る作業で私は悲しいけれど自身の症状をはっきりと自覚することになった。

前から言われていたこと、それでも最近が幸せいっぱいでだからこそ忘れてたんだ。
私に切られた期限がもうかなり少ないんだってこと。

自宅で編み物をしていると、ちょこちょこ目が霞み、見えづらくなっていた。
疲れ目かななんて思っていたけれど、はたと気付く。

これは自分の病気の症状がしっかり進行しているんだってことに。
そして一気に不安が押し寄せてきた。
私はあとどれだけ周りを彼を見ていられるだろうと。