「お前らはいつも平均値組だから必死になるよな。部活命だし。ただ、汐月はそう慌てないだろうな」

三浦先生の勿体ぶった言い方に、蒼くんが食い付いた。

「ちょ!先生事実だけど酷い!有紗ちゃんが慌てないって何でだよ?」

「あれ?お前ら覚えてないの?汐月は新入生代表の挨拶してただろ?」

その先生の言葉に、三人はさっきから驚いたままの顔をして、グルっと振り返り

「新入生代表の挨拶って事は?」

「俺らの代の入試で……」

「トップの成績??」

三人で伝言リレーみたいに繋がった言葉に、三浦先生はニッコリ笑顔で肯定した。


「それからこの二年、汐月の成績は学年一桁キープだ。なにか分からなかったら汐月に聞いてみろ?ま、頑張れよ受験生!」

と蒼くんと要くんの肩をポンと叩くと、先生は日直から貰った日誌を片手に教室を後にした。

先生、そんな置き土産要らないのに……。


はぁ、とため息ひとつ。
振り返るとそこには両手を組んだ三人が目をキラッキラさせていた。

「ちょっと!みんな何?その目!」

思わず後ろに引きつつ突っ込むと、三人が同時に話し始めた。

「有紗!」
「有紗ちゃん!」
「有紗」

三人が組んでた手を離すと、拝みポーズで一言。