カシャッ。

まさか、藤と二人きりになるなんて想像出来なかったわ。

藤がいく場所をただついて行く。
小道具のある部屋に行ったら、脚立を出した藤は高い位置に手を伸ばした。

少し大きめな青い箱が取りたいらしい、藤。

あの位置なら俺、普通に届くんだけどな。

「なあ」
ビクッ!!

「えっ、な、きゃっ!!」


はあ?


俺の声に振り替える藤は、脚立から足を踏み外した。


ガシッーーー


セーフ。

俺は落ちてきた藤を、お姫様抱っこした。
意外に小さいし、軽い。

「大丈夫かーーー?」


あ?


赤い顔をした藤は、見たことのない顔をしていた。

なんつーか、普段のツンツンした感じがない。

「あ、ありがとうっ。
ごめん、急に喋るから」


そう言い俯く藤。

ガタンっーー。



廊下に、視線を辿れば廉が俺を睨んでいた。


「ちょっと、出てくるわ。
はい、箱。
もう、高いとこは俺が取るから取らないで」

一応、忠告しとく。

「あ、ありがとう」


そう、まだ赤い顔の藤をチラリ、と見てから廊下へ走った。