何……………やっぱり俺可笑しくない?

何故か、聞こえるんだ。
どんなに小さな声も、君の声なら聞こえるって可笑しくない?

「そう??
俺には、君の声が良く聞こえるよ。
なんでかわからないけど、良く聞こえる…………ッ」


何だか、照れ臭い。



「ありがとうっ。
目黒くんっ」


君の小さな声が、俺を呼んだ。


だけど…………

ちゃんと聞こえる。
君の声ーーーー。


「なんだよ、青。
今、香織ちゃんなんて言った訳?」


はあ?
「何、翼聞こえないの?
あんな、よく聞こえるのにーーーってなんだよ」

やけにニヤニヤする翼を、人睨みした。

「いやあ、青ってさあ、鈍感だよな?
意外意外‼」

一人で納得し、ニヤニヤと笑う翼。

意味が分からない。




"ありがとうっ。
目黒くんっ"ーーーーー




離れない、君の声ーーーー。

テーブル席を見ると、目が合った。


今度は目を逸らさずに、君が、微笑んだ。


「……………」

ガシャンーーーー

やば、皿割った。

「ちょっと、目黒くん!!
香織ちゃんに、見惚れすぎっ!!」


「はあ!?
ふ、藤何言って………!!」


見てねーし。

「あれ?自覚ないの?
目黒くん、香織ちゃんの声する度、見てるよね?」


はあ⁉俺が、あり得ない。

「美心のことだってあるのに………あり得ないから」


ずっと美心が好きだった。

「目黒くんは、美心に囚われすぎだよ?
美心に出会ったのは、運命かも知れない。
だけど、ずっと側に居ないのは、運命の人じゃないからだよ。

本当に運命の人なら、きっとーーー何度だって出会うよ」


"本当に運命の人なら、きっとーーー何度だって出会うよ"ーーーーー。


もう1つの雷龍に出会った時と同じ様にーーー。


俺は、藤を見た。


「美心、好きで居てくれてありがとうっ」




藤は、ソッ、と俺から離れた。