「…………あれ?

私…………っ」


少し、君が、反応した。
だけど、その顔はだんだん真っ赤になっていく。

「ごめん、意識無かったし、水も薬も飲めなそうだったから…………その……………「ありがとうございます」


正直バツが悪い。

だけど君は、微笑んでくれた。

「もう、大丈夫です。

ありがとうございます‼」


なんだろう…………。


変だ俺………。


「いやあ、まさかのキスシーンとか、もう次の恋ですか?」

バシッーーーー

俺は、間髪入れず廉を殴った。

「そんな、軽くねーよ。
お前こそ、解決したの?」

藤が、泣きながら会場を出て、その後を廉が追いかけた。


「ああ、俺は、梓にしか興味ないから。
あんなことで、消え失せる恋じゃねーよ」


廉が見つめる先に、藤が、いた。


「大丈夫?
具合悪いなら、奥で休む?」


「大丈夫です、あの………あの人は……」

よく、聞こえないけどーーー彼女が俺を見たんだ。

「ああ、目黒青くんだよ。
もしかして、恋した?」

「ち、違います‼
ただ、優しい人だなって…………」

クスリ、と藤が、笑った。


なんだ?

「目黒くんは、誰にでも優しい人じゃないよ?
彼は気づいてないけど、特別な人にしか優しくしないよ」


彼女の顔が、赤くなる。
藤は、ニヤリ、と笑ってる。
怪しい………。
怪しすぎる………。

彼女が、振り向いた。


俺を見ていた目は、逸らされた。


ズキンッーーーー。


なんだ、痛い。

痛い…………胸の奥………。