「私、お願いします……」

これは、恋の駆け引き。
美心が、ちゃんと俺を好きになるまでキスをしないと、約束した。

約束は、ちょっときついけど……

「これぐらいは、許してくれる?」

唇にキスをしない変わりに、君を抱き締め……頬にキスをした。

赤くなる君が、好きーー。

やっぱり、君が、好きだと再確認。

「じゃあ、とりあえず倉庫戻ろう」

倉庫には、仲間がいる。
きっと雷だっている……。

俺達を見ればきっと雷だって……焦るに違いない。
だけどーーー。







「雷、今帰ったよ。

雷、美心頑張ってた。
守られてるだけのお姫様じゃなかったよ。
だから、美心に謝ってよ」


「ああ、悪かったな、美心」

だけどその表情が、言葉が事務的でやっぱり固い。

雷は変わった。

「それと、俺達………美心と付き合うから。
大事にするから……だから「いいんじゃない?
初めから、遊びだから関係ない……」


"遊びだから関係ない"ーーー。


「遊び?雷くん?」


君の瞳が潤んできた。

「そう、美心可愛いから遊んであげたんだよ?
楽しかったよ、ばいばい美心」

「美心!!」


君が、俺の腕をすり抜けた。
手を伸ばすも、届かない。
君はそれだけ、早かった。

「雷!!!?」

ーーーーーバキッ


誰も早く、俺よりも早く雷を殴ったのは………

廉だった…………。