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「悪いな、真也。
急に来て」

俺は、仲間に車を出させ、バスタオルを用意させた。

車に乗り込み、バスタオルで濡れた体を拭いてあげた。


まっすぐ向かった先は、真也の家。

「大丈夫か?

なんか合ったのか?なんで、美心だけ。

雷は?」

まあ、仕方ない。
そりゃ、雷と居た筈の美心がここに居れば、不思議に思うわな。

「後で話す。
シャワー借りていいか?
美心が、風邪引く」

「ああ、ほらっ、バスタオル。

後、着替えは、俺のでいいか?」

仕方ない……

他の男の服を着せたくないなんて、言ってたら風邪を引く。


俺は、真也から着替えを受けとると
ソファに座る美心に、着替えを差し出した。


「美心、シャワーしてきな。
風邪引くから……」


放心状態な美心の、瞳が戻ってく。


「雷くんが、恐い。

雷くんを恐いなんて、思ったこと無かったのに」

少し冷静な美心が、居た。


「青くん、私……。
青くんを好きになれば、良かったのかな?」





君はずるいね、俺をこんな気持ちにさせるんだから。

「ごめんなさいっ、ちょっといってきます」


我に返った美心は、そそくさとリビングを出ていった。


"青くんを好きになれば
 良かったのかな?"ーーーー。


君の言葉が、消えない。

君は、ずるいね。


「大丈夫か?青っ」


真也が、気づいたように声をかけた。


「けどさあ、これはチャンスだよな。
雷と美心が、このままけんかしたままなら、青が押してけば、また付き合えるんじゃね?」

本当に、それでいいのかと思う。

「ずるくないか?
弱ってるとこに、付け込むみたいな」


「ばーか、恋にずるいも何もないんじゃね?」

差し出されたグラス。

口にすると、頭の中が痺れるぐらいスッキリしたような炭酸の味が広がる。


それが、また……気持ちが安らぐ。


「ずるくないなら、頑張ってみるよ」


俺は、笑顔でそう言った。


ーーーーガチャ。


リビングのドアが、急に開いて真也の服を着た美心がいたんだけどーー
唖然。

長い髪は、ウサギ耳になっていて可愛い。

真也の服は上だけで、ワンピースみたいになっていた。