そんなことを言いつつも、瞳の場合はスミレが関わるとややこしくなるという理由だけじゃなくて、スミレにはあまり危険なことをしてほしくないんだろうな。


いじめみたいな他者の歪んだ感情が入り混じる問題にスミレのような純粋なタイプは関わらないほうがいい。

でもまあ、万が一にでもスミレが巻き込まれたら瞳が全力で守りそうだ。


「甘いものは正義なのに!」

不貞腐れたスミレは口を尖らせながら、先ほどお友達と言っていたテディベアの背中掻っ捌いている。

どうやらマジックテープでくっついていたらしい。その中から、紫色の飴玉をとりだして食べ始めた。

甘いものですっかり機嫌をよくしたスミレは鼻歌まじりにぎこちないスキップをして歩いている。

というか、お友達食料保管庫かよ!

前々から思っていたけど、スミレの言動が摩訶不思議で仕方なかった。

これで普段はいたいけなお嬢様を周囲にばれずに演じているのだからすごい。そういえば、家ではどちらの彼女なのだろう。