素早くシャツのボタンを留めて、その上からワンピース状のグレーのスカートを着て、服装を整える。あー、恥ずかしかった。
「変なこと言ってしまってすみません」
「大丈夫よ、それよりほらここ……タオルで拭いて。スープかかっていたでしょう」
濡れたタオルと浅海さんに手渡す。すると、「え!?」っと天花寺の焦ったような声が聞こえて来る。
「ちょっと待ったっ!!」
「え、」
「あ……」
私たちの会話で妙なことになっていると勘違いしたのか、カーテンが開かれた。
白い世界から出てきたのは、着替え中の女子二人。私はほぼ着替え終わっているけれど。
浅海さんは咄嗟にシャツで隠していたけれど、これはもう女だとバレてしまったに違いない。
うわー……なにこれなんなのこの展開。紛らわしい会話しちゃった私たちも悪いけどさ!
「え、あ、ええええぇええええ!」
顔を真っ赤にした天花寺の叫びが医務室に響き渡り、天花寺のラッキースケベは予定より早くこの場で起こってしまった。おそらくはヒロインの浅海さんと天花寺の恋が今日から始まる。
ついでに雨宮と桐生にも見られてしまったので、ヒロインの性別は生徒だと私たちだけの秘密になるんだろうな。



