「ハッ! もしやそこのお嬢さん。君が噂の〝マリアちゃん〟か!」

「え……噂?」

私いったいどんな噂を水谷川家でされているのかしら。


「初めまして、水谷川家長男のレオです。スミレが一番頼りにしている兄です」

「スミレが一番懐いている兄、次男のシオンだ。マリアちゃん君に頼みがある。学院でのスミレを毎日写真に収め、ぜひ送ってくれ!!」

「……はい?」


メガネをかけていてインテリ系なレオさんと、正統派イケメンという感じのシオンさん。

黙っていれば水谷川家の兄妹たちは美形なのに話すと残念な人ばかりだ。


「ちょっと! 真莉亜に変なこと言わないで! あっち行ってよ! 人の誕生日会でなにしてるのよ! バカ兄!」

「瞳にもご両親にも事前に撮影許可をもらっている!」

「そういう問題じゃないわ!」

スミレは怒って私の後ろに隠れてしまった。

慌てて機嫌を取ろうとするお兄さんたちに笑ってしまう。賑やかな兄妹たちだ。

それと同時に瞳の日々の苦労が少しわかった気がした。


……このテンションに常に囲まれるのは大変だ。