「めでたいな! 今日はハルトの代わりにこの俺がカメラマンだ!」


振り向くと、先ほどスミレと一緒にいた男の人が、何故か瞳とハルトさんではなくスミレのことを一眼レフで撮っている。

スミレはというと、涙をぽろぽろと流していた。


「ス、スミレ、泣いているの?」

「……嬉しいけど、寂しいの。瞳がハルト兄様のことばっかりになっちゃったらどうしようとか考えちゃう自分がすごくいやだわ」

スミレの可愛らしい独占欲に微笑んでいると、再びカシャカシャと音が聞こえてくる。

……気が散る。



「待て、シオン。お前はアングルに工夫がなさすぎだ。ローアングルのものも押さえておけ。せっかくスミレのドレスアップ姿と涙のコラボレーションだぞ」

「レオ兄、横顔アップもなかなかよく撮れたぞ! さすが俺だ! 褒めてほしい!」

「お前は時々できるやつだ!」

「もっと褒めてくれ!」

噂には聞いていたけれど、スミレのお兄さんたちはかなり変わっている。

これはスミレも日々大変だ。

けれど、この様子をまるでいないもののように無視を続けているスミレもなかなかすごい。慣れというものなのだろうか。