瞳のバースデーパーティーは真栄城家で行われる。

瞳と親しい友人たちや、真栄城家と親交の深い人たちが呼ばれているバースデーパーティー。


瞳のお父さんは盛大にしたかったらしいけれど、瞳が嫌がったため、小規模になったそうだ。


私もこの日ばかりはちょっと張り切っておめかしをして、シルエットが綺麗に見えるらしいAラインのワンピースを着た。

落ち着きのあるピンクベージュで胸元にあしらわれているレースがほんのり甘めで可愛らしい。

そして、何故かお店の人に強く勧められた肘あたりまであるふんわりとした袖口。

どうやら私はこのタイプの服のほうがいいらしい。


蒼にも絶対このタイプの方がいいと言われてしまった。いったい何故。


昨夜から胃が時々痛む。今日で瞳と雨宮の婚約の話が進むかもしれないからだろうか。


スミレもなにやら考えがあるみたいだし、いったい今日何が起こるのだろう。


ふと腹部をさすっている男の人が目に止まった。

私のお父様と同じくらいの年齢に見えるその人は、なにかに耐えるように眉根を寄せている。



「あの、どうかなさいましたか?」

声をかけてみると、男の人はぎこちなく微笑んだ。