「へぇー、菫の君と白百合の騎士の間に紅薔薇の君が、ねぇ」

「っ、!?」

何故か天花寺様がお顔を真っ赤にされているわ。

それは一年以上経っても未だにホットなネタだ。

あの守ってあげたくなるくらい可憐で純粋無垢な菫の君と、彼女を守る白百合の騎士様の間に、気高き情熱を纏う紅薔薇の君が入るなんて誰が想像できたというの!

この件を議論するには放課後だけでは時間が足りなくなるほどだわ。


「紅薔薇の君が白百合の騎士と微笑み合っていた!? そのとき菫の君は!? だってさー、悠」

「お、俺に言わないでよ」

「いちごちゃんだよー? しかも放課後になると三人で女子校舎に隣接している東校舎に消えて行くのを何度も目撃、ねぇ」

いちごちゃんって何かしら。それに天花寺様のお顔の赤みが増している。もしかして……天花寺様も私たちのような趣向を!?


「そ、その呼び方はよくないよ」

「本当お前はデリカシーねぇな」

「拓人には言われたくないなー」