「瞳から聞いた?」

「好きな人がハルトさんって名前だってことは聞いたの。もしかして、スミレのお兄さんなの?」

「……うん。幼い頃から瞳はずっとハルト兄様が好きだったの。……ハルト兄様も本当は瞳のことが好きだと思うわ」


両想いのはずなのに上手くいかない事情があるということだろうか。

けれど、瞳の口ぶりからは片想いのように聞こえた。

ひょっとしたら瞳はハルトさんの想いに気づいていないのかもしれない。



「いつまでも動かないハルト兄様に喝を入れたいの! お願い真莉亜、協力して!」


真剣なスミレからはどちらのことも想っているように感じた。



お兄さんのことをいつも悪く言っているけれど、きっと本当はスミレなりに大事に思っていて、


お兄さんだからこそ、親友の瞳だからこそ、


幸せになってほしくてスミレは必死なんだ。